突然あらわれる花粉症。いままで花粉症に苦しめられたことなどなかったのに、最初は風邪かな?と思うのはなぜなんでしょう。花粉症の症状が風邪と似ているため、悪化するまで病院に行かずに市販薬で対応していました。はやいうちに花粉症と気が付けば、それなりに対応できたのでしょうか?
花粉症の病状と風邪との違いは?
厚生労働省によりますと花粉症と間違えやすい疾患は風邪が多いとありました。
花粉症は季節的にも風邪の流行する時期に重なります。このため、発症の初期ではくしゃみ、鼻水が症状として同じことがあります。また急に悪化した他の鼻疾患たとえば慢性副鼻腔炎(蓄膿症)などとの鑑別が必要になるようです。
【花粉症】
花粉によって生じるアレルギー疾患の総称であり、主にアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が生じます。花粉が鼻に入ると、直後にくしゃみ、鼻汁が生じ、少し遅れてから鼻づまりの「即時相(そくじそう)反応」が生じます。このときの鼻の粘膜は、かぜに近い赤い色の粘膜の腫脹を起こします。このため、初めて花粉症になったときには、検査をしなければ、かぜと間違う場合もあるとのことです。
目に花粉が入ると早くから目がかゆくなり、涙が流れ、目が充血してきます。症状が強いときは、鼻で吸収されなかったスギの抗原成分が鼻から喉へ流れ、喉のかゆみ、咳を生じます。また鼻づまりによる頭痛、鼻や喉の炎症反応による微熱、だるさなどの症状に悩まされるそうです。本当に、これには苦しめられます。
ちなみに
【風邪】
感冒ともいう。鼻,のど,気管支などの粘膜に起る炎症性の病気の総称。風邪症候群と呼ぶほうが正しい。ウイルスの上気道感染によるものが多いが,一般にインフルエンザとは区別されている。多くは,疲労,寒冷などのストレス刺激が関係しており,頭痛,微熱,不快感,上気道炎,鼻炎,各種のアレルギー症状,ときには胃腸障害などの症状もあるが,2次感染がなければ安静だけで軽快すると言われています。
肝心の「花粉症の病状と風邪との違いは?」ですが、初期症状では判断が難しいことが分かりました。
診断の目安として、下記を参照ください
図1 あなたは花粉症? かんたん診断が使える
【サイト内の画像はクリックで拡大します】
※この診断はあくまで、目安的なものになっています。医師の診断をお受けいただくことをお勧めいたします。
参考にしてください
花粉症の病状を予防するには
【花粉症の予防】
● 花粉症になりやすい人
花粉症以外のアレルギー疾患をもっている方や、家族の方が何らかのアレルギー疾患を持っている人は、それのない人に比べて、花粉症になりやすいと考えられています。
● 花粉症にならないためにはどうすればよいか
大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症しやすくなります。また、これまで軽症で花粉症であることに気がつかなかった方も、花粉を鼻からたくさん吸い込んだり、目に入ったりすると、花粉症の症状が強くなります。花粉になるべく接しないことは重要なことです。
(1) マスクの効果
マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果が期待されています。また、花粉症でない方も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されていますが、風が強いと鼻の中に入る花粉はマスクをしていても増え、効果は減弱するといった報告もあります。マスクをしていても完全防備にはならず、過大に信用は禁物です。
(2) うがいの効果
鼻の粘膜には線毛があり、粘膜の上の異物を輸送します。うがいは、のどに流れた花粉を除去するのに効果があります。
外出から帰ってきたら、かぜの予防にもなりますので、うがいをしましょう。
(3) 洗顔の効果
花粉が人間に付着しやすいのは表面に出ている頭と顔です。外出から帰ってきたら洗顔して花粉を落とすと良いでしょう。
(4) 洋服の服地
洋服に花粉がついてしまうので、花粉飛散している時の外出時には毛織物による上着やコートは避けたほうが良いでしょう。表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維のものには花粉が付着しにくく、付着した花粉を吸い込む量を減らすことが期待されます。
(5) めがねの効果
メガネは花粉の飛散の多いときには、目に入る花粉を2分の1から3分の1まで減らすことができますが、眼の症状をどの程度弱くすることができるのかは明らかではありません。
(6) その他予防方法
花粉が人間に付着しやすいのは表面に出ている頭と顔です。頭の花粉は、帽子などで避けることが可能です。
花粉症の病状あるときの対応は
【花粉症の症状がでたら】
① 花粉症の診断
花粉症の診断の多くは、花粉飛散時の症状の有無と血液中にある花粉に対する抗体の存在で診断されます。さらに、耳鼻咽喉科では鼻の粘膜を直接みて、アレルギーの反応を観察します。
② 早く治療
花粉症の症状が起こりはじめたごく初期では、鼻粘膜にまだ炎症が進んでおらず、この時期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができます。
③ 病院
ひどい鼻の症状がある場合は耳鼻咽喉科、目の症状がひどい場合は眼科をおすすめします。内科、小児科、アレルギー科などでも診療が受けられます。
④ 花粉症がひどくならないために
一般的な注意事項として、睡眠を良くとること、生活習慣を保つことは、正常な免疫機能を保つために重要です。風邪をひかないこと、お酒の飲みすぎに気をつけること、タバコを控えることも鼻の粘膜を正常に保つために重要です。
⑤ 花粉症の人がかかりやすい病気
花粉症はアレルギーの病気なので、同じアレルギーである喘息や通年性のアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などになりやすいと考えられています。
⑥ 花粉の季節でなくても花粉症の症状
スギ・ヒノキ花粉症では2月から5月以外に10月から11月にごく少量の飛散があって軽い症状が出ることがあります。イネ科の花粉症は6月から8月、ブタクサの花粉症では8月から10月に症状が出ますが、そのほかの季節で鼻の症状が出るときには花粉症以外の鼻炎も考えられます。
⑦ 花粉症に効くといわれているものの効果
花粉症関連グッズはマスク、メガネのほか様々なものが出されていますが、実際に花粉症の症状を良くするというデータは充分にないのが現状です。衣類の静電気防止スプレーは効果があるようです。毛織物以外の衣類にはほとんど花粉がつきませんが、例えば毛皮のコートなどにスプレーをすることは効果が期待されます。
【花粉症の治療について】
① 花粉症の治療には、医療機関で行う薬物療法、手術治療、減感作療法があります。しかし、治療を行うことと平行して、自らが花粉の暴露から身を守ることが前提となることはいうまでもありません。
② 花粉症の治療には3割負担の方の場合は、初診で検査を行うには6000円がかかります(ただし、特定機能病院の場合は、さらに加算があります)。さらに次の診療からは、毎回再診料などがあり、薬剤(経口薬、点鼻薬、点眼薬など)を2ヶ月使用し、それでワンシーズン6000円程度になります。つまり、その方の重症度により異なりますが、初めての年ではトータルで12000円から17000円程度、次の年からは(再診扱いで追加検査を行わない場合)7000円から12000円程度の負担になります。
③ 花粉症の薬の副作用を防ぐには、自分がどのような薬剤でどのような副作用を生じるかは前もって分ることは難しいと考えますが、ご自身の症状、生活様式、職業なども先生にお話しし、なるべく副作用の少ない薬を選択してもらうようにしましょう。
④ 花粉症は現在、完治の可能な治療法は減感作療法(抗原特異的免疫療法と正式には言われます。)だけです。しかし、現在の治療法では、完治する率は決して高くありませんし、また副作用の問題や治療に長い期間がかかるため、現在も新しい減感作療法の研究が進められています。
⑤ 新しい花粉症の薬は研究されており細胞の中の情報伝達などをコントロールする薬剤などの研究や、アレルギーの原因となる蛋白に対する抗体等が花粉症治療に応用できるか、といった新しい治療法の研究が進められています。
⑥ 花粉症の免疫療法、いわゆる減感作療法は皮膚への注射により原因の抗原エキスを体内へ入れます。舌下免疫療法は口の中で舌の下、舌下に抗原エキスを入れて、花粉症の症状を根本から少なくさせようとする根本的治療法です。厚生労働省の研究班で医師主導の臨床試験が行われ、保険診療として広く使えるかどうかの治験も始まっています。
花粉症の病状と風邪との違いは?まとめ
・花粉症の病状と風邪との違いは?:初期症状では判断が難しい、診断の目安参照
・花粉症の病状を予防するには:花粉になるべく接しないことは重要なことです
・花粉症の病状あるときの対応は:医療機関で行う薬物療法と自らが花粉の暴露から身を守ること
【少しでもお役に立てれば幸いです】
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[…] 花粉症の病状と風邪との違いは何か?予防と対応も知りたい突然あらわれる花粉症。いままで花粉症に苦しめられたことなどなかったのに、最初は風邪かな?と思うのはなぜなんでしょ […]
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